TOPペルソナスクエアジョナサン・ブラウン(Forrester Research, Inc.) ペルソナのパワー(2.ペルソナを評価するには?-その1-)

ペルソナのパワー(2.ペルソナを評価するには?-その1-)

ジョナサン・ブラウン(Forrester Research, Inc.)
2008年04月15日

−フォレスター・リサーチのペルソナ評価法論−その1

前回のコラムで、カール・ウォルツ君というペルソナを紹介しましたが、最近、米国企業がさまざまなウェブサイトや製品、マーケティングキャンペーンをデザインするために、ペルソナを作っています。まず、「このサイト、製品を使う人は誰ですが」という質問から始まり、ペルソナを作って、デザインチームがそのぺルソナのためにデザインをしています。

さて、これまで作られてきたペルソナの中には、良いペルソナがある一方で、悪いペルソナもあります。そこで、良いペルソナか悪いペルソナかを評価するために、フォレスター・リサーチが簡単なチェックリストを作っています。

■フォレスター・リサーチのチェックリスト

1.実在の人間の観察・インタビューに基づいているか
2.顔・名前・仕事があるか
3.ストーリーの形になっているか
4.主な属性とゴールを抽出しているか
5.ペルソナが実在の人物に見えるように、ペルソナが言ったことを引用したり
他の工夫を凝らしたりしているか

ペルソナに必要なものは、大きく分けると二つ。ひとつは、“サイエンス”です。これは、チェックリストの1にあたります。ペルソナを作り上げるまでのデータ収集、インタビューのやり方、それは人類学者が行うような仕事であり、サイエンスと言えるでしょう。
しかし、それだけでは不十分です。集めたデータだけを会社全員に配っても、それを理解したり、その人を想像したりするのは難しいでしょう。そのため、そのデータからエッセンスを抽出して、近くにいる現実の人のように想像ができるようにするために、もうひとつの要素“アート”が必要なのです。チェックリストでいうと、2−5です。

■今回のコラムでは、まず“サイエンス”にフォーカスしてお話をします。

ペルソナを作るためには、どういうインプットがないといけないかというと、ペルソナ・チェックリストのトップになる部分ですが、本当のユーザーのインタビューが不可欠です。リサーチの世界では、さまざまリサーチのやり方がありますが、ペルソナを作るために最もよく使われるリサーチの手法は、デプス・インタビュー、もしくはフィールド・インタビューです。

もちろん、企業のマーケティング部門などがすでに集めた定量的なデータを使ったり、それを基にデータを作ることもできますが、ペルソナというのはそういうデータだけではなくて、お客様の好みや嫌いなもの、モチベーションまで知りたいわけですので、定性的なリサーチが必要です。

特に、フィールド・インタビュー、つまり現場(ユーザーの自宅や職場でのインタビュー)でのインタビューは重要です。なぜなら、本当にそのユーザーがどこでそれを使っているかというような環境を見ることができるし、ユーザーが話していることを聞くことができるだけではなく顔や体の表現(ボディランゲージ)によってその人の感情も記憶することができるからです。

さて、「こういったインタビューは誰でもできるのですか?」と聞かれることがありますが、特殊なスキルが必要だと私は思います。インタビューを行う人が、インタビュー前から何かのイメージを持っていると、無理やりその質問を聞いてしまったりして、ユーザーの本当の回答を失うケースがあります。うまく相手をしゃべらさせる、そしてその人のエッセンシャルなニーズを会話から引き出すスキルがとても重要です。
また、「何人にインタビューすればいいのですか?」と聞かれることもあります。インタビューはあくまでも定性的なリサーチであり、定量的なリサーチではないので、数はそんなに多くないです。代表的な例ですと、6〜10人のインタビューでひとつのペルソナを作ります。例えば、ターゲットユーザーの18人にインタビューをしようと計画していても、10人以降はそんなに新しい情報が入らないと分かったら、残りはキャンセルしてもいいかもしれません。なぜなら、インタビューは先ほども申し上げたとおり、感情などの定性的なリサーチを理解するためのものだからです。

次に、インタビューで録音しりメモしたりした情報は、ポストイットノートに記録して、壁に貼り付けて、いくつか属性群を引き出します。ポストイットをクラスタリングして、同じテーマについてのポストイットを集めることによりパターンを見つけて、どのインタビュー対象者がどのインタビュー対象者に似ているかを見つけることができます。初めはたくさんのポストイットがばらばらに張られていた部屋も、きれいにいくつかの属性郡にまとめられるはずです。

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これまで話した内容はいわゆるペルソナのベースになる“サイエンス”です。このステップ、つまり本当のユーザのリサーチをしない限り、今後作るペルソナが意味がないものになってしまいます。本当のユーザーに基づいたものではない限り、ペルソナとは呼べません。なぜかというと、本当のユーザーと会わない限り、今までと同じように、企業が作り出したお客様のステレオタイプをそのまま持ち続けることになるからです。

だから、ペルソナを評価するとき、まず第一ステップとして聞かなければいけないのは、「このペルソナを作るためにどういったリサーチをしたか?」、「本当のユーザーにリサーチを行ったか?」です。

 次回は、アートの部分についてお話します。

【テーマ】  01ペルソナの基礎   04海外での活用

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