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ペルソナのパワー(3.ペルソナを評価するには?-その2-)
−フォレスター・リサーチのペルソナ評価法論−その2
前回のコラムではペルソナができるためのインタビューや観察などのリサーチについて、そしてそのリサーチについて理解したお客様の特性のクラスタリングについてお話しましたが、このように集めた情報をうまく活かすため、利用しやすくするため、そして覚えやすくするためには、芸術的な形にしなければなりません。
つまり、ストーリーの形にしなければいけません。私たち人間は、例えば、取引しているお客様のデーターをエクセル表で見ても、その人の顔、属性、好みなどは想像しにくいですよね。だから、さっきのクラスタリングした情報を分析し、デザインのために使うモデルをいくつ作ればいいなど判断しなければいけません。
■今回のコラムでは、“アート”にフォーカスしてお話をします。
分かりやすいように、フォレスターが作った事例をここで紹介します。ある金融機関が口座管理サイトを作成するために、六人のターゲットカスタマーにインタビューしたという前提でペルソナが作られた事例です。
インタビューで、日常的に金融に関してどう思っているのか、口座にアクセスするのは月何回か、お金についてどう思っているか、など質問したと仮定し、その結果、ターゲットカスターマーを二つのカテゴリーに分けることができ、二つのペルソナで表すことができました。本当は二つのペルソナを作るのであれば、通常はもう少しインタビューを多く行いますが、事例を簡単に説明するために今回はこのように作りました。
ご覧のとおり、この銀行ではインタビューを行った六人を、三人はペルソナ1、他の三人はペルソナ2で表すことができました。今まで、お客様の言ったことを一つずつのファクトイド(事実)として管理したり、データとしてあずかっていましたが、そのファクトイド(事実)や引用から重要な要素を選んで、そのペルソナのストーリーを作ります。
ペルソナのストーリーの中には、完全なフィクションは入りません。あくまでもインタビューした人が本当に言ったことや本当に考えていることを集めて、編集して、三人の大事な好みや特徴などを1人ついての話にまとめます。ストーリーの内容は、タスクのために必要な情報の詳細にフォーカスします。今回の事例ですと、タスクは「口座管理サイトを作成する」ですので、そのために必要な詳細をストーリに加えることが必要です。
そして、ご覧のとおり、このステージではじめてこのペルソナに名前をつけます。今回作られた2つのペルソナは、ジョイス・トングとビル・ロフタスと名づけられました。
さて、ここからは、ジョイス・トングについて話をします。
次のステップでは、ジョイスのために顔写真を選びます。この写真の選び方も一つの大事なポイントです。そもそも私たちがこのペルソナを作りたい理由は本当のお客様を表すものなので、美人モデルの写真やどう考えてもスタジオでとったような不自然なポーズ、品質の高すぎるプロフェッショナルなものは使ってはいけません。できれば、普通に会えるようなお客様の写真がいいです。もう一つのポイントは、この写真の中に、この人の属性などをサポートするヒントなどが入っていればベストです。このペルソナを作るためには、ペルソナの職業は新卒の新人弁護士なので、卒業日の写真を探して選んでいます。これを見て、ごく普通の若い弁護士が卒業した幸せな日を十分に想像できます。
■チェックリストを用いて、ペルソナに作成に必要なことを復習しましょう。
この間のコラムでは、フォレスターのチェックリストをご紹介しましたが、ここで紹介するペルソナにはチェックリストに合格するポイントがちゃんと入っています。
一つ入っていないのは「1.実在の人間の観察・インタビューに基づいているか」です。これは、フォレスターが分かりやすい事例を示すために特別に作ったペルソナであるため、ちょと今回は話からはずしてください。
その他の項目について、上のペルソナの1枚のシートに照らし合わせながら見てみましょう。
2.顔・名前・仕事があるか
あります。プロフィールの中の「After a touch week on the job at her new law firm」という文章から、彼女は新しく弁護士になったことが分かります。
3・ストーリーの形になっているか
はい、なっています。第二パラグラフでは、「So on Saturday morning at 9 AM she pulled up a chair to the desk in a corner of her living room where she keeps her laptop.……」とあるように、ジョイスが土曜日朝9時に口座にアクセスすることがストーリの形で書かれています。
4.主な属性とゴールを抽出しているか
はい、右側にちゃんと抽出されています。主なゴールの中には、「お金の運用をなるべく簡単に楽にすること」と書いてありますね。これは、サイトデザイナーが知っておくべき大切な情報です。なぜなら、ジョイスがファイナンシャル・プラニングを行うにあたって、高度な機能のついた複雑なツールは使いたがらないということが分かるからです。
5.ペルソナが実在の人物に見えるように、ペルソナが言ったことを引用したり他の工夫を凝らしたりしているか
はい、ちゃんと「給料が上がってきているけど、週に平均70時間働いているのよ!」というせりふがあります。これは、通常、本当のインタビューから取ってきます。
ご覧のとおり、今までファクトイド(事実)の集まりで一目で見ずらいデータが、簡単に理解できそうなストーリーの形のアートになっています。一度これを読んだら、ジョイスのことを忘れません。
このストーリーと属性は、あくまでもこの口座管理サイトをデザインしている人が必要な詳細にフォーカスされています。そのため、ジョイスのファイナンシャルニーズですとか、PCの使い方、アカウントにログインするための苦労などについて書かれているのです。
繰り返し言いますけど、今回フォレスターが事例のためにストーリを作ってこのジョイス・トングというペルソナの事例を見せましたが、本来、必ずお客様をインタビューしたうえでこのアートをつくるべきです。いろんな会社と話をして、ペルソナプロジェクトが失敗したという話を聞きますが、その失敗理由の多くは、リサーチをしなくてステレオタイプに基づいてペルソナを作ったからのようです。
つまり、ペルソナにはサイエンスもアートも必要なのです。