TOPペルソナスクエアジョナサン・ブラウン(Forrester Research, Inc.) ペルソナのパワー(4.企業がどのようにぺルソナを利用し、どう効果を得ているか? −その1-)

ペルソナのパワー(4.企業がどのようにぺルソナを利用し、どう効果を得ているか? −その1-)

ジョナサン・ブラウン(Forrester Research, Inc.)
2008年06月03日

誤ったペルソナというのは、さまざまなデザインプロジェクトに使われています。例えば、特定したユーザーにとって使いやすいWebサイトをデザインするためにペルソナを使うことはよくありますが、それだけではなく各コミュニケーション(広告、印刷媒体、店舗、コールセンター、携帯サイトなど)や新しく開発する製品のデザインのために使われています。また、サービスの内容を決めるためにも、あるいは場合によっては、お客様中心の企業文化の構築めざす会社がその戦略を立てるためにも、ペルソナは使われています。

もちろん、目的によってペルソナに含まれないといけない情報、インサイトは変わります。ですので、ペルソナを作ろうとしている企業が、もともと何のためにペルソナを作っているのか、プロジェクトの最初の段階からきちんと分かっていることが重要です。

さて、そもそも、なぜそのように多くの目的、多くのチャネルにペルソナが使われているのでしょう?
米国企業の事例を使いながら、どういう場合にどうやって効果を得たのかを話しましょう。

大きく分けますと、ペルソナを活用することにより、主に次の4つの効果を得ていると言っていいと思います。

1.ユーザーについての誤ったイメージを直す
2.デザインについての議論を結論に導く
3.機能の優先順位を確立する
4.製品・サービスの品質を高める

では、それぞれについてお話します。

■1.ユーザーについての誤ったイメージを直す

企業で働いていると、どんな社員でもその企業の製品やオペレーションについては良く分かるようになるでしょう。そして、その業界の専門用語やその企業だけが使っている製品名なども、社員にとってすごくあたりまえの言葉になるのが普通です。

しかしながら、会社の外にいる人、つまりお客様が同じ知識を持っていると思ってしまうと、大きな失敗があります。「こんなの分かって当たり前だ!」と思ってしまうと危険です。家のお客様は長年弊社とビジネスをしているので、「このサービス名(言葉)を理解しているだろう」と思ったら大間違いです。

実は、こういった考えをもっている製品やサービス、Webの開発チームが世の中にはたくさんいます。ユーザーが自分に似た考えを持っていると思い込んで、自分のためにデザインをし、結局ユーザーにとって使いずらい製品を作ってしまっているケースはたくさんあります。

また、ユーザーが自分に似ていると思わなくても、ユーザーリサーチを行わなかったら、ユーザーに対するステレオタイプを自分の中に作ってしまいます。たとえマーケティング部門に定量的なデータがあったとしても、そのデータが社員の頭の中のステレオタイプを変えることはなかなかできません。なぜならば、定量的なデータはすごく Coldな数字だからです。ユーザーの年齢や年収を把握しても、その人のパーソナリティ、好みを理解することはできません。
ユーザーのパーソナリティなどの情報を得るためには、定量データだけではなくて定性的な調査を行い、それをリアルに感じるペルソナを作ることが大事です。それを実践した企業に話をすると、「初めて弊社のお客様の気持ちが分かった。」「弊社のお客様がとってもこういう人だとは想像できなかった」などの声をよく聞きます。ペルソナを活用することにより、お客様に関する謝ったイメージを直し、本当のお客様のために仕事ができるようになるのです。

■2.デザインについての議論を結論に導く

最近私がさまざまな業界の日本企業に対してペルソナに関するインタビューを行っている中で、最もよく聞く効果が、これです。つまり、ペルソナの活用により、会社の中で統一したお客様のイメージを共有することができるということです。

なぜこれが大事かというと、会社の中の各部門、各個人がそれぞれお客様について違うことを考えていたとしたら、なかなか製品のデザインやサイトのデザインについてまとまった決定を出すことができません。全員が賛成することができないわけです。みんなそれぞれ自分の部署のことしか考えません。結局、デザインのドライバーは、お客様ではなくて社内政治になってしまうことが少なくありません。

例えば、ある企業では、会社のWebサイトのトップページという限られたスペースの中にどの部署のコンテンツを載せるかという議論が永遠に続くと言います。広報室が「IR情報や社長のメッセージをページの中心におきたい」と主張、一方、各製品グループが「自分の製品の情報をなるべく高い位置におきたい」、そして人事部が「採用情報をなるべく大きくアピールしたい」というふうに。そもそもこのWebサイトは誰のためなのか各ステークホルダーが共有したイメージを持たない限り、無駄な議論が続きます。へたすると、幕の内弁当と呼ばれている、つまり各部署との間の争いを反映しているWebサイトができてしまいます。


ペルソナを採用すると、会社の中の誰もが「Webサイトはこの人のためだ!」と理解でき、その人のためであればこのコンテンツが必要だと、すぐ理解ができます。今まで結論ができるために何ヶ月もかかっていた企業では、ペルソナを使うことによってその長いミーティングを2、3回の短いミーティングで結論に導くことができています。

ここで一つアドバイスは、共通した顧客のイメージを作るには、ペルソナを見る人たちみんなが少なからずペルソナがどこから出たのかを理解する必要があります。ペルソナを初めて見た人に、どうやってこのペルソナを作ったのか、なぜこのペルソナが我が社の最も大切なお客様を表しているか、を理解してもらうことが必要です。そうしない限り、関係者みんなからの納得を得られないかもしれません。理解を得るためには、社内教育を行うのがいいと思います。

【テーマ】  01ペルソナの基礎   04海外での活用

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