TOPペルソナスクエアジョナサン・ブラウン(Forrester Research, Inc.) ペルソナのパワー(5.企業がどのようにぺルソナを利用し、どう効果を得ているか? −その2-)

ペルソナのパワー(5.企業がどのようにぺルソナを利用し、どう効果を得ているか? −その2-)

ジョナサン・ブラウン(Forrester Research, Inc.)
2008年06月09日

前回のコラムで、ペルソナを活用することにより得られる主要な効果を4つ挙げ、そのうちのふたつ、

1.ユーザーについての誤ったイメージを直す
2.デザインについての議論を結論に導く

をご紹介しましたが、今回のコラムでは残りのふたつについてお話します。

■機能の優先順位を確立する

数多いお客様がさまざまな異なるニーズを持っている場合、どの機能の優先順位を高くするかどうか、多くの企業にとって悩むところです。また、さまざまなデザインアイデアをもっている企業が、限られた予算の中、何を先に開発するかを決めるのはとても重要なことです。

マイクロソフト社がこういうデッシジョンを勘ではなくて論理的に解決するためのぺルソナを使った方法を開発しました。まず、デザインしようと思っている機能をリストアップして、各主要なペルソナがその機能についての情報をマトリクスに記録します。ペルソナにとって特定の機能がとても魅力的な場合は+2、魅力的な場合は+1、魅力がないと思った場合は−1、あったら困ると思った場合―2。こうすると、結果としては、複数のペルソナにとってどの機能が重要かが見えるマトリクスができます。

次のステップとして、どのペルソナが、どれだけ大事かを決めなければなりません。これには、ビジネス戦略を行っている人が関わります。前回のコラムで紹介した事例を使いましょう。ある金融機関が口座管理サイトを作成するために、ジョイス・トングとビル・ロフタスという2人のペルソナを作っりましたが、ジョイスのために新しいWebサイトを開発すると戦略を立てたので、ジョイスに70%、ビルに30%という違う比重を加えました。



↑Clickで拡大してご確認下さい。


各スコアー(+2〜−2)にそれぞれの比重をかけて、Weighted Scoreを出し、それを足して総合点を出すことができます。例えば、パスワード・リカバリー機能は、毎日口座をチェックしないジョイスにとってはとても魅力的な機能で+2ポイントをつけ、ビルもあっていい機能と判断して+1ポイントをつけたので、それぞれの比重をかけて、合計で1.7ポイントとなり、トップの優先順位になりました。

一方、「複数の口座間でお金を動かす機能」については、ジョイスは複雑すぎてあったら困るという判断し−2ポイントと採点。ビルにとっては魅力的な機能でぜひ使いたいと+2ポイントをつけても、このサイトはジョイスに重きをおいて作っているので、比重をかけて計算すると結局合計で−0.8ポイントとなり、このサイトにはこの機能を作らないという判断になりました。

このように、ペルソナを活用し、企業の戦略を加えることにより、何の開発にどれくらいの予算をかけるべきか、優先順位を決めることができます。


■製品・サービスの品質を高める

上記の事例をみて、なぜペルソナが製品やチャネルの品質に影響を与えるかは想像ができるかもしれませんが、それを描写するストーリーを紹介します。

このストーリーは、2003年のマクロメディア(2005年にアドビシステムズに買収される)のWebサイトに関するものです。2003年の3月、マクロメディアが新しいサイトを作りました。そのウェブサイトには、フラッシュのアニメーションなどをたくさん最新技術が使われていましたが、サイトを訪れる顧客の利便性を考慮していなかったために使いづらく、お客様からたくさんクレームが来ました。特にMac利用者はマクロメディアにとっては重要なお客様でしたが、まったくWebサイトが見れないという問題がでました。その顧客のクレームを聞いた当時の役員が、なるべく早くユーザーセントリックなWebサイトに作り直す必要があると判断し、実行。5月−9月までの間に、ユーザーインタビューを行い、ペルソナを作り、それに基づいてWebサイトを再構築しました。このとき、最も大事なペルソナは3人でした。ジムというhtmlのディベロッパーやハリーというITマネージャーのペルソナを作りましたが、各ペルソナの役割によって、知識やニーズが異なりました。そして、サイトの再デザインを行いながら、必ず各ページをその3人の目から見て、ナビゲーション、コンテンツ、機能などを評価して、なるべく彼らのニーズに合う、必要としている情報が見つかりやすく、そして買いやすくしました。

その結果、短期間ですばらしい結果を出すことができました。

・トップページだけみてやめた人が11%減少
・訪問者に対する実際に購入した人の割合(コンバージョン)が297%アップ
・クロスセル(一つの製品を買いに来た人が別の製品も一緒に買うケース)も増え、1回の購入額が67%アップ

また、サーチ機能を使っているお客さんが2%減りました。買い物をしている人が増えたのに、サーチをしている人が減ったのはすごいことです。それだけ、ナビゲーションが明確になり、サーチする必要がなくなったのです。

こういう数字が会社の成功につながっているのは間違いありません。どの企業にとってもこれは重要でしょう。

ちなみに、アドビシステムズがマクロメディアを買収した際、そのサイトを高く評価して、それに似た作りのサイトを作ったといいます。以下を比べて見てみると、それが分かるでしょう。


最後にひとつ言えるのは、ダメなサイトを良くしたので、大きな成果が見えたかもしれません。みなさんのサイトも課題が多ければ多いほど、大きな改善が見えるでしょう。

もうひとつ言えるのは、ペルソナを使わなかったら、このような結果は出せなかったということです。

【テーマ】  01ペルソナの基礎   04海外での活用

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