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ペルソナ活用事例 ゼロからの実践〜社内コミュニケーションの活性化〜(3.ペルソナをどのように作ったのか(インタビュー〜スケルトン作成まで))
■インタビューを実施する
前回のコラムでは、ペルソナ作成までのステップとして、アンケート実施からインタビューへ至るまでを説明しました。今回は、インタビューの実施手順からお伝えしたいと思います。社員に対するアンケートの結果から今回のペルソナ像のターゲットを「高意識派」に絞ることにしたのですが、社内ポータルサイトの利用環境や職種も考慮して、6名の社員をインタビュー対象者としました。
そこで社員一人ずつ各1時間程度のインタビューに臨む前に、インタビュー設計として聞きたいことをまとめてリスト化しておきました。当然のことかもしれませんが、聞くべきことを聞き忘れてしまったり、毎回質問内容が異なってブレてしまったりとはならないようにするための準備です。具体的には(1)現在の仕事内容、(2)社内情報の利用状況、(3)不満に感じること、(4)期待すること、という大項目を作り、それぞれ7、8個の合計30項目ほどの質問を事前に準備しておきました。
ただしインタビュー時に気をつけたのは、チェックリスト的に順番に質問していくのではなく、なるべく自然な会話になるよう相手の話の内容やペースに合わせて、できるだけ柔軟に質問事項を変えていったことです。また、「そう思ったのはなぜですか?」「そのときどのように感じましたか?」「そう感じたエピソードも教えてください。」などなど具体的な状況を思い起こしてもらい、そのときのイライラや喜びの気持ちといった心理面やエピソードも聞いていくようにしていきました。基本的には、感じていることを素直に話してもらえるよう、インタビューをさせてもらう相手に対して“教えてもらう”姿勢で臨むことを重視しました。
■インタビュー結果をまとめる
インタビューが終わったら、その結果を文字起こしして、ペルソナ作りのための元データにしていきます。インタビュー時の会話はすべて録音させてもらったのですが、「ああ」とか「えー」といった間投詞もすべてそのまま書き起こしました。というのも、その人の話し方の癖や間もなるべく忠実に文字に再現することで、あとで読み返したときでも臨場感を残せるようにしておきたかったためです。実際そうしたことで、インタビュー記録を読み返すと、相手の表情や口調なども思い起こせるようになりました。
文字起こしは、何度も何度も録音データをリピートして聞く必要があるため、インタビュー時間の3倍くらいかかる骨の折れる作業ではあります。今回は合計約7時間のインタビューを文字起こしした結果、Wordにして80ページ程のボリュームになりました。ただ、文字起こしの作業をしていくなかで、改めて社員の気持ちをより深く理解できたり、私自身が記憶に残すことができたので、労力をかけるメリットはあったなとは感じています。また、このように社員の生の声をじっくりと耳を澄まして何度も聞くということもそうはないことなので、いい機会でもありました。
■インタビューを「最小のデータ単位」に分ける
今度は、インタビューデータを『ペルソナ戦略』に出てくる「ファクトイド」という「データソースに基づいた最小のデータ単位」に分けていきました。つまりインタビューデータから、仕事の内容、利用環境、期待、興味、喜び、不満、ストレスなどに関する発言を一つずつそのまま抜き出して、付箋紙に書き出すという作業です。「最小のデータ単位」ですので、例えば“仕事内容”と“期待すること”を同じ付箋紙に書くことにならないように、異なる事柄であったら別の付箋紙に書くということにします。ここで私が気をつけたのは、インタビュー発言の内容を取りこぼして漏れてしまうことがないよう「このデータは付箋紙に書き出すべきか?」と迷ったらむしろ書き出しておく、という方針で進めていったことです。結局、今回私が行ったときには、80ページ程のインタビュー記録から付箋紙で350枚程の分量になりました。
次に、この350枚の付箋紙から関連が高いもの同士をグルーピングしていきました。例えば、「一日一回は見ています」とか「昼一回メールを見る」といった“利用頻度”に関することをひとまとめにしたり、「古くて使えないことがあります」とか「情報があるだけでは使い方が分からない」といった“情報の有益性”に関することを同じまとまりにしたりなど、意味合いの親和性が高いもの同士でグループ化していきました。今回は結果的に35のまとまりにグルーピングされました。
付箋紙にデータを書き出すときに、インタビュー対象者ごとにAさんなら赤色の付箋紙、Bさんは緑色という風に色分けをしておいたので、グルーピングしたときに特定の人に発言が偏っていないか、適度にバラけているのか、ということが視覚的に分かるようにするという工夫をしておきました。また、さまざまな色の付箋紙を使ったほうが彩り鮮やかになって、楽しげにもなったという効果もありました。
■ペルソナ文書の骨組み「スケルトン」を作る
グルーピングが終わったら、「スケルトン」と呼ばれるペルソナ文書の元になる骨組みを作り上げていきます。スケルトンの見出し項目はあらかじめ何か決まったものがある訳ではありませんが、以下の2つの方法を組み合わせて作り上げていきました。一つ目は、グループ化したデータの中から目立った特徴を箇条書きにするというやり方です。ですが、これだけだと35のグループの要約が単純に並ぶだけになってしまいますので、もう一つにはペルソナ文書の完成形を考慮しながら作るというやり方も合わせて行いました。つまりこの時点で、ある程度のペルソナの雛形を作っておいた上で、スケルトンを作るということをしました。
そこで、ペルソナの雛形を作るにあたっては、多くのペルソナの事例を参考にしていきました。例えば、『ペルソナ戦略』の本にペルソナでの代表的な記載項目として挙げられているものを参照したり、入手できる限りの様々なペルソナの事例も参考にしていきました。そうして、ペルソナ文書の雛形を作っていったのですが、その雛形の項目で過不足ないかを検証することも行いました。そのためにペルソナの雛形項目に私自身の5、6年前くらいの状態を情報として書き込んでみて、仮のペルソナを作ってみました。そして、この仮のペルソナを私自身の情報であることは伏せてまわりの人に見てもらい、この仮の“ペルソナ”がどんな人でどんな気持ちなのか、きちんと人物像を理解してもらえるかどうかを確認していきました。これでスケルトンの見出し項目を確定させ、グルーピングしたデータから特徴を要約して箇条書きにして書き込んでいき、スケルトンを作り上げていきました。
次回は、ペルソナの完成までとその評価の手順についてお伝えしたいと思います。
【テーマ】 03ペルソナの事例