TOP関連コラム秋本芳伸(有限会社ワイツープロジェクト) ペルソナで知る海外マーケット--中国人のペルソナ--(6.実在感のあるペルソナを作る(2))

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  • 有限会社ワイツープロジェクト 取締役

ペルソナで知る海外マーケット--中国人のペルソナ--(6.実在感のあるペルソナを作る(2))

秋本芳伸(有限会社ワイツープロジェクト)
2009年02月09日

前回までで、顧客グループの箇条書きができあがりました。今回はこれをもとにペルソナを作っていきます。作成するペルソナの数およびペルソにする顧客グループを決めてから、箇条書きをもとにペルソナのストーリーを書いていくという手順になります。

■ペルソナにする顧客グループを決める

 顧客グループの箇条書きはいくつか出来ているはずです。FC社の例でも、「20代の働く女性」「30〜40代の主婦」「30代のオフィスワーカー」の3つのグループの箇条書きを作りました。もっと細かく分けていれば、たくさんになることもあります。
 しかし、箇条書きを作ったすべての顧客グループのすべてのペルソナを作るわけではありません。それぞれのグループを検討して、優先順位をつけ、順位の高いものをペルソナにします。

 優先順位付けの基準をどこにおくか迷うかもしれませんが、一般的には、次のようなものが考えられます。まず、頻繁にサービスを利用するかどうか。Webでいえば、頻繁にWebにアクセスしてくれるか否か。コーヒーの販売でいえば、コーヒーをよく飲むか否かということになります。
 また、マーケットサイズがある程度大きいか否かというのも基準になります。新しいサービスを開発している場合には、これから大きくなりそうか、というふうになるでしょう。物品販売などですと、購買力があるかどうかも重要な基準になります。
 それ以外にも、マーケットに対する影響力の有無という基準もあります。この人たちが「いい」と言ってくれると、すごく売れるとか、評価が高くなる、というような相手は、当然ターゲットに入ってくるわけです。たとえば「女子高校生」が重要だといったことです。


■ペルソナの数を決める

 優先順位を検討するのと同時に、ペルソナをいくつ作るかを決めておく必要もあります。ペルソナは、たくさん作ったほうが、より多くの顧客像を網羅できて安心だ、と思うかもしれませんが、それは間違っています。ペルソナの数が多くなればなるほど、ターゲットがぼやけていってしまうのです。
 では、いくつくらいペルソナを作るのが適当なのでしょう。
 対象となる製品やサービスにもよりますが、1〜5くらいがお勧めです。これ以上の数になると、実際のプロジェクトの中でペルソナを使いこなすという面でも難しさが出てくるからです。

 FC社では、主ペルソナとして20代の働く女性である「王芳(ワンファン)」、副ペルソナとして30代の主婦である「張紅(ジャンホン)」の二人のペルソナを作ることにしました。


■ペルソナのスケルトンを作成する

 顧客グループの特徴を箇条書きにするところまではできているので、次に、これをもう少し具体的にしていきます。たとえば、「20歳代の外資系企業で働いている女性」となっていたのを、「外資系企業のマーケティングスタッフで月収が1万元の26歳の女性」というように変えていくわけです。「月収が1万元」「26歳」などは、もちろん調査によって設定した特徴です。
 このように、箇条書きを詳しくしたものを「スケルトン」と呼びます。FC社の「20代の働く女性」のスケルトンは次のようになりました。


Y2Column6_1.jpg


FC社の事例では、インスタントコーヒーを飲む顧客像のペルソナですから、ペルソナの仕事については簡単な記載になっています。顧客がインスタントコーヒーを好むかどうかと仕事の種類や内容は、直接結びつかないからです。しかし、仕事の内容と深く関わるペルソナを作るときには、どのような仕事をしているか、どのような責任を負っているかというような情報をできるだけ具体的に盛り込んでおくとよいでしょう。


■ペルソナのストーリーを作成する

 いよいよ、ペルソナのストーリー作りです。箇条書きを文章に変えながら、ペルソナのストーリーを作ります。もちろんデータを元にするのですが、想像力を働かせながら、ペルソナの生活や仕事ぶり、行動のしかた、ペルソナのゴール(目標)を書いていきます。
 このときに注意しなければならないのは、現実の世界に即して、常識で考えて妥当と思われるストーリーにすること。凝りに凝って作りこみすぎてもいけません。あとから説明しますが、ペルソナは社内の多くの人たちといっしょに使うものですから、あまりに詳細にわたると、ほかの人が使いづらいものになってしまう可能性があります。

 それから、必要以上に先入観を抱かせるような言葉の使用も避けるようにします。たとえば教育に熱心な母親を「教育ママ」と表現すると、どうでしょう。単に教育に熱心なだけでなく、なんだかとっても怖いお母さんを想像する人もいるかもしれません。そうするとペルソナが作成者の意図とは違った姿になってしまう恐れがありますね。ですから、できるだけ、誰もが同じように解釈する言葉を使うのがよいと思います。
 次のストーリーは「王芳」の例です。


Y2Column6_2.jpg


■ペルソナを表すキーワード

 それぞれのペルソナには、そのペルソナを表すキーワードをつけておきます。これがあれば、どのような「人」かが一目でわかります。また、のちにペルソナを共有してプロジェクトを進めていくときにも、このキーワードが役に立ちます。ペルソナの作成に参加していない人たちでも、ペルソナの考えや性格などが理解しやすくなるからです。
 FC社では王芳の特徴から、次のようなキーワードを決めました。
「オンとオフを上手に切り替えて、仕事も個人の生活も充実させたい」


■ペルソナを検証する

 いちおうペルソナができたところで、きちんとデータを反映しているかを、つまりペルソナがデータから離れたフィクションになっていないことを確認します。ストーリー作りに熱中するあまり、書いている人の仮定や想像がペルソナに入り込んでしまうこともあるからです。ここの部分がけっこう危険です。データを集めたはずなのに、うっかりすると担当者の「顧客はこんな人」という思い込みに戻ってしまう可能性が高いのです。こうなるとペルソナの形をしていても、実際にはペルソナではないものが出来上がることになります。ペルソナを作るときには、「ペルソナの背景にはデータがある」ことを忘れないようにしましょう。

 そして、ターゲットの顧客とのズレはないか、データは十分か、といった観点からもペルソナを評価します。たとえば、顧客を知っている人に、ペルソナを見せてみましょう。「そう、そう、お客さんってこうだよね〜」というように同意を得られれば、いうことはありません。しかし、「ちょっと、違う」といわれることもあるかもしれません。また、ペルソナを作っていると「この時に顧客はどのように行動するだろう」というような疑問が出てくることもあります。このような場合は、もう一度、データに戻って見直します。データが足りなければ追加の調査も行います。

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