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  • 佐々木康浩(株式会社三菱総合研究所)
  • 株式会社三菱総合研究所 コンサルティング事業本部 主席研究員

ペルソナの活用に向けて(3.ペルソナの5段活用)

佐々木康浩(株式会社三菱総合研究所)
2009年04月06日

 共通的なフレームワークを世の中標準として多くの企業が認め、各企業で適用し始めると、他社と比べて自社のレベルが気になってくるものである。それは、ゴールはどこにあるのか、自分たちの努力は正しいものなのか知りたくなるからであると思われる。

 他社評価としての代表的なものが「能力成熟度モデル」と言われる考え方である。
カーネギーメロン大学のソフトウェア工学研究所が1980年代後半に、ソフトウェア開発プロセスの成熟度について研究、モデル化したCMM(Capability Maturity Model)が有名である。
CMMでは、ソフトウェア開発を行う組織のプロセス成熟度について、5つのレベルを規定している。

レベル1:初期状態 (混沌とした、いきあたりばったりで、一部の英雄的なメンバー依存の状態)。成熟したプロセスを導入する際の、出発点のレベル。

レベル2:管理された状態 (反復できる状態、プロジェクト管理・プロセスの規則の存在)、反復してプロセスを実行できるレベル

レベル3:定義された状態 (制度化された状態)、プロセスが標準ビジネスプロセスとして明示的に定義され関係者の承認を受けているレベル。

レベル4:定量的に管理された状態 (計測できる状態)、プロセス管理が実施され、さまざまなタスク領域を定量的に計測しているレベル。

レベル5:最適化している状態 (プロセスを改善する状態)、継続的に自らのプロセスを最適化し改善しているレベル。

この考え方を、ペルソナ手法をマーケティングに活用する際のレベル判定に援用した。


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図7 ペルソナマーケティングの成熟度仮説
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 この仮説に当てはめると、CSK西日本でのトライアル時点での取り組みは、一部の部署で試行的に取り組みを始めたところであり、第1か第2段階に位置すると考えられる。
一方、富士通デザインの取り組みは、社内の複数部署を巻き込むことに成功しており、参加者の成功感も報告されていて全社的かつ継続的な活動に移行しつつある。これは第3段階と言っても良いのではないか。
雑誌等で紹介される機会の増えてきた我が国の事例も多くは第2段階に留まっている。第2から第3段階への移行には高い壁(あるいは深い谷)があるようだ。それを突破する鍵は「社内コミュニケーション」のあり方にある。縦割りの(風土のある)組織ほど、部門間の高い壁を乗り越えるのは困難を要する。

逆に、ペルソナの活用を通して、部門間の壁を低くする効果も報告されており、面白い傾向にある。
引き続き「ペルソナマーケティングの成熟度仮説」の精緻化に取り組んで行きたい。

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